研究の背景
日本ではSociety 5.0の実現に向けて、全国各地で自治体主導のもと、3D都市モデル化、
3次元点群データの活用、そしてデジタルツインプロジェクトをはじめとしたサイバー
フィジカルシステムの社会実装が進んでいますが、各自治体での取り組みは地域内に
限定されるという課題があります。
そのため、地域に限定せず、より広域的な連携により、高精度なデータかつ多様な
サービスの提供が可能となり、Web3技術を活用したDePINがその持続化の鍵として
注目されています。
そこで2022年度から2024年度にかけて、本学を代表研究者とした国立研究開発法人情報
通信研究機構 革新的情報通信技術研究開発委託研究 国際共同研究型プログラム City as a Serviceを支えるデジタルツインを持続可能な状態で自己成長させるエコシステム(通称:D2EcoSys、採択番号05601、https://d2ecosys.org/)として共創型デジタルツインの研究開発が行われ、「自己成長するネットワーク」「参加インセンティブモデル」「ブロックチェーンによるコンテンツ一貫性保証」「IPFS (InterPlanetary File System) によるデータ分散配備」といった各種技術要素の実現に取り組みました。
しかし、ユーザによる利用機会の拡大や実用化に向けてのさらなる課題が残されています。一つ目は可用性の課題です。住民参加型の自律分散型ネットワークでは、ユーザーの通信帯域やネットワークからの離脱率が一定ではないため、特に大容量データの流通において信頼性の保証がありません。
二つ目はセキュリティの課題です。コンテンツを分散配備する場合、コンテンツの識別情報が漏洩すると誰でもコンテンツにアクセスできてしまう問題があります。また、IPFSによる大容量コンテンツの確実な取得や、コンテンツ以外の認証機能など、改善の余地があります。これらの課題を解決することで、より実用的な共創型デジタルツインの実現が期待されます。


プロジェクトの目標
本委託研究では、NICTセキュアオフチェーンストレージを活用し、共創型デジタルツインおよび分散ストレージサービスに高可用かつ高セキュリティ化をもたらすために、二つの研究開発項目があります。
第一に、ストレージとアプリケーションを仲介する情報指向ネットワーク(ICN: Information-Centric Network) / IPFSサービスメッシュフレームワークを開発し、非集中型ストレージの弾性向上やユーザ参加型インセンティブ機能の実装に取り組みます。
第二に、共創型デジタルツインや高弾性なハイパーセキュアストレージをサービスとして利用可能にすることです。
これにより、地域や分野を超えた安定的かつ持続可能なデジタルツインの運用が可能となり、web3時代の市民参加型情報インフラの実現に貢献するだけでなく、企業・研究機関間の安全かつ効率的なコンテンツ共有が期待されます。
このプロジェクトで期待される効果
本委託研究で実現する仕組みはDePINの有効なモデルケースとなり、基盤となる
「セキュアなWeb3型データベース」の社会実装の促進が期待されます。
本委託研究を通して、Web3世界の到来を促進させるとともに、Web3基盤を支える自律性と信頼性に係る革新的な分散ネットワーク・ストレージ技術の実用化に貢献します。

事業期間
20XX年X月XX日から20XX年度まで(予定)
研究助成
研究費名:令和5年度「高度通信・放送研究開発委託研究に係る令和7年度新規委託研究の公募(再公募)(課題241)」
研究開発課題名:高信頼データ流通のための非集中型ネットワーク内ストレージ及びアプリケーションの研究開発
副題:高弾性ハイパーセキュアな非集中型ストレージによるデジタルツイン流通アプリケーションの研究開発
研究代表者名(所属機関名):学校法人早稲田大学
